「難民」を考える -UNHCR講演-

「世界の難民問題と国連難民機関(UNHCR)」の講演を聴いて

本日、大学の法学会主催で、国際連合難民高等弁務官事務所(Office of the United Nations High Commissioner for Refugees, UNHCR)駐日事務所代表の滝澤三郎氏を招いた講演会が実施され、私も参加しました。90分の講演中で実際に難民問題に関して理解が出来るのか、と問われればノーと答えざるを得ません。それほど難しい問題だと感じました。ブログの本来の趣旨とは異なり、まことに勝手ではありますが、私の非公式のレポートを残す場所にさせて頂きたく思います。

まず難民問題を考えるにあたって「難民」という言葉の定義を理解する必要があります。最近では「~難民」という言葉が多様に使われており、使われ方としては『行き場のない』といった状況を指すものになっています。広義では正しいのですが、正確ではありません。「難民(Refugees)」とは、母国での人権保護がない・母国から出国することが出来て外国で避難生活が送られる・母国への帰国が出来ない、とこれら3つの要素で定義されています。その他「難民」と似た境遇の人たちで「国内避難民(Internally Displaced Persons)」と定義される場合があります。こちらは、母国での人権保護がないことに加えて、母国から逃げることが出来ず、国内で避難生活を余儀なくされている人たちを指します。「国内避難民」は国際的保護の対象外とされています。

滝澤氏によると難民と認定される人たちの約8割が強制送還などで追い返されている現状があるそうです。また前述したように「国内避難民」は国際的保護からの対象外とされています。理由はいくつかあり、内政不干渉の原則や主権の尊重などが挙げられます。しかし最近では国連やUNHCRは、こうした「国内避難民」も保護の対象と見るなど、改革を実施しており、現在UNHCRの支援対象となっているのは実に3200万人とされています。ある国で深刻な人権侵害がある場合に「内政不干渉」論というのは必ず議論されるもので、実際に微妙な原則で解釈が難しいものですが、私は「やってもいい干渉」があるのではないかと思います。

滝澤氏は日本の難民受け入れ数が世界的に少ないことを指摘しました。同氏は、日本の難民受け入れが少ない理由として、島国であること、周辺諸国に深刻な紛争を抱えた国がないことなどが挙げられるとともに、日本という国の性格なども関連しているとしています。たとえば日本は外国人には「閉ざされた国」という印象があるようで、日本の「建前と本音」の文化が影響していると見られます。私は「島国」であることが一番大きな理由だと思います。戦後の「島国」日本は他地域に比べるとはるかに平和な状況で育ってきました。従って紛争地域と国境を接する欧州などに比べると感覚的に「難民」に対する意識が成長していないのは、ある意味自然なことではないでしょうか。グローバル化が推進されていますが、こうした面でのグローバル化を優先して考えることも必要だと感じました。

併せて私たちが「難民」を素直に受け入れられない理由の一つに、限定して北朝鮮からの難民(脱北者)の場合、「工作員ではないか」という疑念があるからです。もちろんこれは現状では当然の感覚です。国際的に見てもいわゆる「経済移民」との区別などが「難民」の認定の問題として議論されています。このような日本を取り巻く環境で、大切なことは、深刻な「難民」の受け入れには、未来に向け慎重かつ早急に対策を練りつつ、ノンルフールマン(nonrefoulement)の原則のもと、正しい対応をすることが今後の日本のグローバリズムを考える上での課題となると実感しました。

国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR
国際連合難民高等弁務官事務所-wiki-

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