
……記者から「ドコモは『先駆けてやる』と言っているが」と問われて「何を先駆けてやるんですか(笑)」と即座に返す余裕を見せた上で、「われわれがドコモに追いつかれないように、常に先を行くということだ」と話した。(ITmedia, 08.01.25)
この記事を見たとき、KDDI小野寺社長のユニークさが伺えて思わず笑いました。私は、AppleのSteve Jobsや、MicrosoftのBill Gatesを見ていると、日本の会社のトップもある種の露出があって然るべきと思うのですが、現在はソフトバンクモバイルの孫社長くらいしか意欲的なプレゼンは行いません。あのNTTドコモの中村社長も路上でチラシを配ったりと意外とユニークな一面を見せており、KDDIの小野寺社長としても黙ってられない。とはいえ小野寺氏だって「無言のユニーク」を演じてきており、単に堅物というイメージはありません。今回の(笑)はその象徴かもしれません。
前置きはさておき、KDDIの小野寺社長の決算会見でのコメントをもとにケータイ市場の現状を振り返ってみたいと思います。
□買い方セレクトについて
KDDIが導入した「買い方セレクト」という方式。フルサポートコースでは端末代が21,000円値引きされ、2年間の間KDDIに縛られます。違約金は最大約18,000円。ほとんどのショップでは同コースを適用した価格表示がされています。
小野寺氏によると、購入者の9割がフルサポートコースを選択するとのことです。背景にはショップが積極的に勧めているということも考えられます。この方式で最も特徴的なのは割賦販売方式を採用していないことです。量販店では「NO!割賦」といった宣伝がされていますが、これは消費者にとってKDDIが出来る一つのアピールです。
というのもソフトバンクモバイルが割賦販売方式を導入してからというもの、国民生活センターにはかなりの数のトラブルの相談があります。これは別にソフトバンクモバイルそのものが悪いとかいう話ではなく、消費者がとくに意識することなく「割賦販売」という制度を利用してしまう、簡単に言うとリスクを省みず、ただ頭金が「0円」であるというだけで契約してしまう現状に問題があります。極端な話、だれが契約の場で割賦販売法第4条に目を通すでしょうか。「クレジット破産」と同様の現象がまた起きていると考えられます。そのような事態を回避するには、消費者に今よりも高い知識、リテラシーが要求されます。簡単に契約は出来ますが、一定の条件で当該契約を解除するのはかなり難しいことです。
そうした懸案があるなかで、KDDIが割賦販売方式を採用しなかったことは、ある意味アドバンテージに成り得ます。私も割賦販売方式はあまり気持ちの良いものではないと考えています(ただし、悪い・良いという意識はありません)。それに加えて私のように端末をコロコロ変える不届きな者にとっては、実は一番KDDIが安く済むのです。この方式が導入された当初、KDDIの端末代は上がったとの、いわゆる誤認識があり、KDDIを苦しめたものですが、量販店に行っても分かる通り、ほとんどの機種は0円で販売されています。さらに違約金は最大約18,000円で、現時点で新規契約時に6,300円分のポイントが加算され、これを違約金支払いに充てることが可能です。なお小野寺氏は割賦販売方式について「導入を検討中」としていますが、急を要さないとしています。個人的には現在の形式にプラスアルファという形が望ましいです。
一方、ドコモの導入した割賦販売方式はある意味、賢いやり方で、私のような者を簡単には動かさないようなシステムになっています。必ず50,000円程度の機種代を払わなければならない、そのかわり基本料金は以前よりさらに安くなります。ソフトバンクは980円という格安プランを置いている一方、特別割引という名目で月々の機種代金から相当額の割引を行います。
現在、ソフトバンクモバイルとKDDIの両社と契約していますが、いずれも割賦販売方式で契約していません。つまりソフトバンクにおけるスーパーボーナスに入っていないということになります。前述の通り、私は割賦が嫌いなので、ドコモ905iのときも一括で購入しました。自分で行っている精いっぱいのリスク回避です。もちろん人それぞれで、2年間使う見込みがあり、割賦に抵抗がない(あるいは意識していない)人はソフトバンクのそれに加入することで結果的に安くなることもあるでしょう。ただし、割賦方式導入によるトラブルは激増しているので、消費者は自分の契約に関する意思を再度はっきりさせる必要があることを加えさせてください。
□Googleとの各社提携に関して
これもずいぶん話題となりました。冒頭での小野寺氏の「何を先駆けてやるんですか(笑)」というのは、ドコモが先日発表したGoogleとの提携での言葉を引用しての皮肉ですが、ジョークとしては面白いです。というか会社がこうした状況になったときに、ある意味強がるのは当たり前のことで、それそのものに問題はありませんし、小野寺氏のように笑いを取ることも可能かもしれません。
しかしこれをユーザー側が比べる材料にするのはいかがなものでしょうか。私はKDDIが決算会見で社長が言った通り、提携関係で勝っているのか、ドコモが「先駆けてやる」といったのが正しいとかは分かりませんが、あえて言うならばユーザーレベルでこの比較をするというのは実にナンセンスということです。ドコモがAndroidの導入を「検討している」と発表するのは勝手ですが、たかが検討していることを理由に提携関係が幅広いだとか、その他ミクロな比較をユーザーがするのはナンセンスだと繰り返します。
ユーザーにとって大事なのはその提携により、選択肢が広まるということに尽きます。KDDIの小野寺氏は「ドコモの後追い」としました。確かにドコモが今行っているサービスのほとんどが何処かのキャリアの後追いでしょう。しかし、いずれスタンダードになるサービスを導入するというのは当然で、後追いながら、普通のことです。しかも別に小野寺氏はそれを「悪い」と言っているのでもないし、追いつかれないように頑張るといった一般的なことを述べているに過ぎません。
私は「ドコモは着うたとか、着うたフルとか、真似してきただろう!」とは決して言いません。それ自体に意味がないからです。というより当たり前のことに過ぎないからです。そういった無意味なことを発信するのではなく、ソフトバンクにおいてもGoogleの素晴らしいサービスが利用できるようになって欲しいし、キャリアレベルでGoogleのサービスにある意味、ギャップがあるのも面白いかもしれない、といった希望を伝えたいです。
□さてiPhoneは
こうした日本でのケータイ市場を語るうえで避けて通れないのが、iPhoneの話題となるでしょう。これまでもコラムに書いている通り、NTTドコモ・ソフトバンク両社から出るのは望ましくないと思っています。これは全て(ユーザー、両社、Apple)にとってという意味です。私の期待していたThe third manこと "Disney Mobile" が先日ついに正式発表されましたが、その内容は私の期待の上で、かなり残念なものでした。ソフトバンクとの関係が強すぎるのです。これはかなり問題で、もともとMVNO(Disneyは否定している)という方式を採用するので、ある程度のソフトバンクの影響はあると思っていましたが、プランやサービスまでコピーとなるとは、残念極まりないです。Disneyに全く新しいことを求めるのは酷ですが、それにしても影響が強すぎます。こうなるとサードマンというより、ソフトバンクの傀儡が出来上がったと見るほうが適切と感じます。
現状、海外メディア発でのドコモ優位が伝えられています。私はそれでもなお、幼いDisneyから登場して欲しいという思いはありますが、消去法で考えると、最終的にドコモになるというのも仕方がないのかな、と考えています。
いずれにしても所詮は「
売れないiPhone」の話ですので、各社血眼になって追いかけるほどの代物ではないとだけ、付け加えておきます。私はもちろん血眼になって契約するでしょうが・・・(もちろんソフトバンクから出た場合も)。
ただ、Disney Mobileがソフトバンクモバイルとほぼ同じサービスを提供していることを考えると、たとえJobsがDisneyの取締役の一員としても、この両社から出るのかな?と疑問も。さらにDisneyは機種に関して「春・夏・秋冬」というペースで出すと言っていますから(あくまで予定の話)。無難な幕開けになったことで、ますます難しい問題になりました。
何か動きがあったら今後もコラムにて書いていきたいと思います。やはり今年中に3GのiPhoneが発表(WWDC?)されて、Jobsが来日して、キャリアを発表するというのが望ましいですね。発表から発売へのスパンもそれほど長いものではないでしょう。欧州のとき然り。
私としては次のコラムを書く暇もなくとんとん拍子に決まってくれるとありがたいのですが・・・。その時はこのコラムを「まぬけだ」と笑ってください^^
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column: 楽観視できないiPhone in Japan(ringo-sanco)★
column: 崩れた「音楽配信」の壁(ringo-sanco)※事実誤認などはコメント・メールにてご指摘お願いします。